MUGAMICHILL - Birds

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MUGAMICHILL - Birds

01.Birds
02.Minor
03.Slow( incomplete )
04.Bass
05.Minor( reprise )


 ナカコー(g)、中村達也(ds)、ナスノミツル(b)……腕利き3人によるインストゥルメンタル・バンドMUGAMICHILLのセカンド・アルバムが早くも到着した。ファースト・アルバム『POLAND』が発表されたのが2017年の春だから、わずか数ヶ月後のリリースだ。結成してたった1年半弱の間に2枚の充実したアルバムを完成させ、合間には精力的にライヴを行っている。オレたちが本気を出せばこれぐらいわけはないんだぜ、と言っているようにも思える。頼もしい。
 前作、そして今作と、3人メンバーの自由なセッションにナスノミツルが中心になって様々な音を重ねていく……という基本的なスタイルに変わりはない。特に今回はナスノのカラーが強く打ち出されていて、「Birds」「Bass」はほぼナスノ1人による演奏。「Minor」「Minor (Reprise)」(両者は同じ曲)、「Slow」と、ライヴ録音した音源の上にSEやシンセサイザーなどを重ねたりエフェクトを加えて再構成したもの。楽曲はバンド初期からのレパートリーで、特に前者は3人で初めて練習した曲でもあるという。前作、そしてライヴではサンプラーも操作していたナカコーは今作ではギターに専念。中村もドラムスのみを演奏している。
 今作のアルバム・タイトルは『Birds』であり、随所で鳥の声のようなSEが聴ける。前作が鳶の声で始まったように、「鳥」はこのバンドにとってなんらかの象徴的な意味を持っているようにも思える。大空を飛び回る鳥の、どこにでも行ける自由さが、このバンドの理想とするところなのかもしれない……などと深読みをしたくなる。とはいえ曲名は前作以上にシンプルで、当然歌もなく歌詞もない。ジャケットのないCD-Rなので、補足するヴィジュアルもない。潔いばかりに、音のみにフォーカスした内容であり、基本的に聴き手の想像力が試されるような音楽であることは、前作同様だ。
 だが何も考えずただ音に身を委ねるだけでも、この音楽の美しさと深さを味わうには十分だろう。空間の広がりがあり、奥行きが深く、ゆったりと沈み込むような低域と、濃厚で密度の濃い中域、抜けるような高域が調和した柔らかくクールな音響デザインが、聴く者の感性を刺激する。イヤフォンで聴きながら外を歩くと、何気ない街の風景がまるで映画の一場面のように彩られ、平凡な日常の景色が変わる。「Slow」の、永遠に続くかのようなミニマルなリフレインが、夢の中のようにいつまでも反響している。
 前作、そして今作と、基本的にはライヴでの一回限りのセッションを元に加工したものだが、いずれスタジオ録音でじっくりと煮詰め作り込んでいくことも考えているようだ。多忙を極めるメンバーゆえ不定期なものとなると思われていたMUGAMICHILLの活動は、意外なぐらい本格的かつパーマネントなものとなっている。鳥のようにそどこへ飛んでいくかわからない、おそらく当のメンバーにも予測がつかないMUGAMICHILLの次の未来。未来は可能性であり、未知なるものへの興味は衰えぬ生命力の象徴だ。MUGAMICHILLにはそれがある。

2018年1月26日 小野島 大 Dai Onojima


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